筆者が化学会社の情報システム部門にいたときの事例です

背景

 1980年代半ば、全工場への生産管理システム導入が決定されました
 生産管理システム導入を機会に、従来のホスト端末からホスト連携機能を
 備えたパソコン IBM5550 が全社に展開されました

現場の高評価と反対
Lotus 1-2-3 から生産管理システムへのデータ転送

 各現場に IBM5550 を搬入し、操作方法の説明がてら
 生産管理システムへの実績入力も説明しました
 IBM5550 にも表計算ソフトがありましたが、当時 Lotus 1-2-3 の
 マクロ機能が製造現場で評判となり、瞬く間に広がりました
 それまで各現場では、残業し電卓を叩いて、週報・月報を作成して
 いましたが、マクロを使えば瞬時に作成できたからです
 馴染みのある、化成・樹脂現場では職長さんに、何度もお願いし
 渋々でも実績を入力頂けました
 付き合いのなかった、発酵食品現場では早速反対の嵐でした
 製品ロット毎、出来高・原材料の使用量をきめ細かく、1-2-3 で
 管理されていたからです

逆転の発想

 食品を生産しているため、原材料の投入実績は厳しく管理、
 週報・月報で品質・管理部門に報告されていました
 このデータをそのまま使うことができないかと、同僚に相談したところ
 IBM SE からホスト連携のエミュレータが使えると判明しました
 同僚に 1-2-3 からテキストファイルに展開するマクロの作成を依頼
 筆者の方で、ホストの製品・原材料コードに変換するプログラムおよび
 実績ファイルへの登録 JOB を作成し、ホストの運転に組み入れました

月次決算

 月末日になると各工場から製品出来高、原材料実績データが反映され
 原価計算処理が実行されます
 入力データの謝りで処理が ABEND(異常終了)すると、直ちに原因調査
 再処理する必要があるので、毎月の月末は徹夜でした
 その後、原価計算が終わると会計システムで決算処理が実行され
 月初1日目には仮決算書、そして2日目には月次決算が確定する流れです

結果

 それまで月次決算は1週間以上かかっていましたが、月初2日目に確定
 することで、会社にとっては画期的な進歩となりました
 当時は生産管理システムとは言うものの、実績管理がメインで、現場に
 メリットが少ないですが、引き受けて頂いた職長さんに感謝しています